dcraw

Section: User Commands (1)
Updated: 2015年3月3日
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名前

dcraw - Raw デジタル写真のためのコマンドライン デコーダー  

書式

dcraw [オプション]... [ファイル]...  

説明

dcraw Raw 写真をデコードし、メタデータを表示し、サムネイルを抽出する。  

一般的オプション

-v
警告やエラーだけでなく、詳細なメッセージを出力する。
-c
デコードされた画像またはサムネイルを標準出力に書き出す。
-e
Raw 画像ではなく、カメラが生成したサムネイルを抽出する。 カメラによって、JPEG か PPM ファイルのどちらかが得られる。
-z
AVI, JPEG, TIFF, raw ファイルのアクセス時刻および改変時刻を 写真が撮影された時刻に変更する。 ただしカメラの時計が世界時に設定されていると見なす。
-i
ファイルをデコードせずに情報を表示する。 終了ステータスは、 dcraw が最後のファイルのデコードに成功したときは 0、失敗したときは 1 となる。 -i -v メタデータを表示する。
dcraw は JPEG ファイルをデコードできない!!
 

修復オプション

-I
Raw ピクセルを標準入力から CPU のバイト オーダーに従ってヘッダ無しで読み込む。 Raw ピクセル値を得るには dcraw -E -4 を用いる。
-P deadpixels.txt
デッド ピクセルのリストを、".badpixels" の代わりにこのファイルから読み込む。 フォーマットの詳細は FILES を参照すること。
-K darkframe.pgm
Raw データからダーク フレームを差し引く。 ダーク フレームを生成するには、光が入らない状態で raw 写真を撮影して dcraw -D -4 -j -t 0 を実行する。
-k ダークネス
シャドウ部がぼやける場合は、ダークネス レベルを上げる必要がある。 これを測定するには、前述の方法で生成したダーク フレームに pamsumm -mean を適用する。
-S 飽和レベル
ハイライト部がピンク色を帯びる場合は、飽和レベル (saturation level) を下げる必要がある。 これを測定するには、何か輝くものを撮影して dcraw -D -4 -j -c photo.raw | pamsumm -max を実行する。
既定のダークネスと飽和レベルが通常は適正値である。
-n ノイズ閾値
ウェーブレットを用いてリアルなディテールを維持しつつノイズを除去する。 最適な閾値は 100 と 1000 の間にあるはずである。
-C 赤乗数 青乗数
赤および青のレイヤーに与えられた乗数 (通常は 0.999 から 1.001) を掛けることで色収差を補正する。
-H 0
ハイライトすべてを完全な白にする (既定)。
-H 1
ハイライトをクリップせず、ピンクの濃淡として残す。
-H 2
クリップされた値とクリップされていない値とを混合し、白へ向かうグラデーションにする。
-H 3+
ハイライトを再構築する。値が低いほど白を重視し、高いほど色を重視する。 妥協点としては -H 5 を試すとよい。それで不十分な場合は -H 9 の結果から白以外のハイライトを切り抜き、 -H 3 で生成した画像に貼り付ける。
 

色オプション

既定では、 dcraw は標準 D65 光源で照明されたカラー チャートに基づく固定されたホワイト バランスを用いる。
-w
カメラで指定されたホワイト バランスを用いる。 それが見つからない場合、警告を表示して別の方法を用いる。
-a
画像全体の平均からホワイト バランスを計算する。
-A 左 上 幅 高さ
矩形領域の平均からホワイト バランスを計算する。 まず dcraw -j -t 0 を行ったうえで中間調灰色の領域を選択する。
-r 乗数0 乗数1 乗数2 乗数3
独自の raw ホワイト バランスを指定する。 これらの乗数としては dcraw -v の出力をカット アンド ペーストできる。
+M または -M
カメラのメタデータに基づく色行列を用いる (または用いない) 。 既定では、 -w が設定されているか写真が DNG 形式であれば となり、そうでなければ -M となる。DNG 以外の場合、 このオプションは Olympus, Leaf, Phase One のカメラでのみ有効である。
-o [0-6]
-p オプションを用いない場合の出力色空間を選択する:

0   Raw カラー (カメラごとに独自)
1   sRGB D65 (既定)
2   Adobe RGB (1998) D65
3   Wide Gamut RGB D65
4   Kodak ProPhoto RGB D65
5   XYZ
6   ACES

-p camera.icm [ -o output.icm ]
ICC プロファイルを用いることでカメラの raw 色空間と 希望する出力色空間 (既定では sRGB) とを指定できる。
-p embed
Raw 写真に埋め込まれた ICC プロファイルを用いる。
 

補完オプション

-d
Raw データを補完なしでグレースケール画像として表示する。 白黒の文書の撮影に適している。
-D
-d と同様だが、スケールされていない本来のピクセル値を用いる。
-E
-D と同様だが、マスクされたピクセルは切り抜かれない。
-h
寸法が半分のカラー画像を出力する。 -q 0. の約 2 倍高速である。
-q 0
高速で低品質なバイリニア補完を用いる。
-q 1
Variable Number of Gradients (VNG) 補完を用いる。
-q 2
Patterned Pixel Grouping (PPG) 補完を用いる。
-q 3
Adaptive Homogeneity-Directed (AHD) 補完を用いる。
-f
RGB を 4 色として補完する。 VNG 補完での 2x2 格子状の模様や AHD 補完での迷路状の模様が出力に現れる場合にこれを用いる。
-m パス数
補完の後、3x3 メディアン フィルターを R-G と B-G チャンネルに繰り返し適用することで偽色を除去する。
 

出力オプション

既定では、 dcraw は 8 ビット サンプル・BT.709 ガンマ曲線・ヒストグラムに基づく白レベル・無メタデータの PGM/PPM/PAM を出力する。
-W
画像のヒストグラムを無視し、白レベルに固定値を用いる。
-b 明るさ
白レベルをこの数値で割り算する。既定では 1.0 である。
-g 指数 足部の傾き
ガンマ曲線を設定する。既定では BT.709 (-g 2.222 4.5) である。sRGB ガンマを設定したい場合は -g 2.4 12.92 を用いる。単純な指数曲線では、足部の傾きを 0 に設定する。
-6
8 ビットではなく、16 ビット毎サンプルで出力する。
-4
線形 16 ビットで、 -6 -W -g 1 1 と同等である。
-T
メタデータ付きの TIFF を PGM/PPM/PAM の代わりに出力する。
-t [0-7,90,180,270]
出力画像を回転させる。既定では、 dcraw はカメラで指定された回転を適用する。 -t 0 ですべての回転が無効になる。
-j
Fuji Super CCD カメラで、45 度傾いた画像を表示する。 ピクセルが正方形でないカメラでは、アスペクト比を修正するための伸張を行わない。 どの場合でも、このオプションは各ピクセルがひとつの raw ピクセルに対応することを保証する。
-s [0..N-1] または -s all
ファイルが N 枚の raw 画像を含んでいる場合、1 枚を選ぶか "all" で全てを選んでデコードする。 例として、Fuji Super CCD SR カメラでは 4 段だけ露出アンダーの第 2 画像を生成することで ハイライト部のディテールを表示する。
 

ファイル

:./.badpixels, ../.badpixels, ../../.badpixels, ...
カメラのデッド ピクセルのリストであり、 dcraw
 はこのリストに記載されたピクセルの周辺を補完する。 各行にひとつのピクセルの列、行、デッド ピクセルになった UNIX 時刻を記す。例:

 962   91 1028350000  # 2002年8月1日と4日の間にデッド ピクセル化
1285 1067 0           # いつデッド ピクセルになったか不明

座標は伸張や回転を行う前の値であり、つまり dcraw -j -t 0 を用いてデッド ピクセルの位置が特定できる。

 

関連項目

pgm(5), ppm(5), pam(5), pamsumm(1), pnmgamma(1), pnmtotiff(1), pnmtopng(1), gphoto2(1), cjpeg(1), djpeg(1)  

著者

Written by David Coffin, dcoffin a cybercom o net  

翻訳者

北川 雅裕, arctica0316 a gmail o com


 

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