MKVPROPEDIT

Section: 利用者命令 (1)
Updated: 2021-01-30
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名前

mkvpropedit - 再MUXすることなく、既存のMatroska(TM)ファイルのプロパティを修正する  

書式

mkvpropedit [options] {source-filename} {actions}
 

説明

このプログラムは、既存のMatroska(TM)ファイルを解析し、そのプロパティのいくつかを修正します。そして、それらの修正を既存のファイルに書き込みます。プロパティの中で変更可能なのは、セグメント情報要素(例えばタイトル)と、トラック頭部(例えば言語コードや'既定トラック'フラグ、トラック名)です。

オプション:

-l, --list-property-names

既知の編集可能なプロパティの名前、型(文字列、整数、真偽値等)、短い説明を一覧表示します。その後、プログラムは終了します。よって、source-filenameパラメータを指定する必要はありません。

-p, --parse-mode mode

解析モードを設定します。'mode'パラメータは'fast'(既定)と'full'のどちらかを指定できます。'fast'モードはファイル全体を解析するのではなく、メタシーク要素を使ってソースファイル内の必要な要素を探します。99%の場合これで十分です。しかし、メタシーク要素を含まないファイルや破損したファイルに対しては'full'解析モードを指定する必要があるかもしれません。'full'スキャンには数分かかることがありますが、'fast'スキャンには数秒しかかかりません。

Actions that deal with track and segment info properties:

-e, --edit selector

このオプション以降のadd、set、deleteアクションが適用されるMatroska(TM)ファイルセクション(セグメント情報または特定のトラックの頭部)を指定します。このオプションは、複数の要素を修正するために、複数回指定することができます。

既定では、mkvpropedit(1)はセグメント情報のセクションを編集します。

文法の完全な説明は、編集選択子のセクションを参照してください。

-a, --add name=value

nameで指定された名前のプロパティをvalueで指定した値で追加します。プロパティは、既にその名前のプロパティが存在する場合も追加されます。ほとんどのプロパティは一意的で、複数回追加できないことに注意してください。

-s, --set name=value

見付けた全ての、プロパティ名がnameであるプロパティの値を、valueに設定します。そのようなプロパティが存在しないときは、プロパティは追加されます。

-d, --delete name

見付けた全ての、プロパティ名がnameであるプロパティを削除します。いくつかのプロパティは必須で、削除できないことに注意してください。

Actions that deal with tags and chapters:

-t, --tags selector:filename

ファイル名からの標識を、このファイル中の標識に追加、あるいは置換します。もしファイル名が空白なら、標識を削除します。mkvpropedit(1)は、mkvmerge(1)が読み込むのと同じXML標識形式を読み込みます。

選択子は、allglobal、またはtrackのうちどれか一つを指定してください。allを指定すると、mkvpropedit(1)はファイル中の全ての標識を置換あるいは削除します。globalを指定すると、グローバル標識だけが置換あるいは削除されます。

trackを指定すると、mkvpropedit(1)は特定のトラックの標識を置換します。また、filenameから読み込まれた標識は、同じトラックに割り当てられます。edit selectorsが指定されるのと同じ様に(下を参照してください)、トラックは指定されます。(see below), e.g. --tags track:a1:new-audio-tags.xml.

--add-track-statistics-tags

Calculates statistics for all tracks in a file and adds new statistics tags for them. If the file already contains such tags then they'll be updated.

--delete-track-statistics-tags

Deletes all existing track statistics tags from a file. If the file doesn't contain track statistics tags then it won't be modified.

-c, --chapters filename

ファイル名からの楽章を、このファイル中の標識に追加、あるいは置換します。もしファイル名が空白なら、楽章を削除します。mkvpropedit(1)は、mkvmerge(1)が読み込むのと同じXMLまたはシンプル楽章形式を読み込みます。

Actions for handling attachments:

--add-attachment filename

Adds a new attachment from filename.

If the option --attachment-name has been used prior to this option then its value is used as the new attachment's name. Otherwise it is derived from filename.

If the option --attachment-mime-type has been used prior to this option then its value is used as the new attachment's MIME type. Otherwise it is auto-detected from the content of filename.

If the option --attachment-description has been used prior to this option then its value is used as the new attachment's description. Otherwise no description will be set.

If the option --attachment-uid has been used prior to this option then its value is used as the new attachment's UID. Otherwise a random UID will be generated automatically.

--replace-attachment selector:filename

Replaces one or more attachments that match selector with the file filename. If more than one existing attachment matches selector then all of their contents will be replaced by the content of filename.

The selector can have one of four forms. They're explained below in the section attachment selectors.

If the option --attachment-name has been used prior to this option then its value is set as the new name for each modified attachment. Otherwise the names aren't changed.

If the option --attachment-mime-type has been used prior to this option then its value is set as the new MIME type for each modified attachment. Otherwise the MIME types aren't changed.

If the option --attachment-description has been used prior to this option then its value is set as the new description for each modified attachment. Otherwise the descriptions aren't changed.

If the option --attachment-uid has been used prior to this option then its value is set as the new UID for each modified attachment. Otherwise the UIDs aren't changed.

--update-attachment selector

Sets the properties of one or more attachments that match selector. If more than one existing attachment matches selector then all of their properties will be updated.

The selector can have one of four forms. They're explained below in the section attachment selectors.

If the option --attachment-name has been used prior to this option then its value is set as the new name for each modified attachment. Otherwise the names aren't changed.

If the option --attachment-mime-type has been used prior to this option then its value is set as the new MIME type for each modified attachment. Otherwise the MIME types aren't changed.

If the option --attachment-description has been used prior to this option then its value is set as the new description for each modified attachment. Otherwise the descriptions aren't changed.

If the option --attachment-uid has been used prior to this option then its value is set as the new UID for each modified attachment. Otherwise the UIDs aren't changed.

--delete-attachment selector

Deletes one or more attachments that match selector.

The selector can have one of four forms. They're explained below in the section attachment selectors.

Options for attachment actions:

--attachment-name name

Sets the name to use for the following --add-attachment or --replace-attachment operation.

--attachment-mime-type mime-type

Sets the MIME type to use for the following --add-attachment or --replace-attachment operation.

--attachment-description description

Sets the description to use for the following --add-attachment or --replace-attachment operation.

その他のオプション:

--disable-language-ietf

Normally when the user requests changes to the 'language' track header property, mkvpropedit(1) will apply the same change to the new LanguageIETF track header element in addition to the legacy Language element. If this option is used, the change is only applied to the legacy Language element.

This option does not affect changes requested via the 'language-ietf' track header property.

--command-line-charset 文字集合

命令行から与えた文字列を変換するのに用いる文字集合を設定します。既定では機構の現行地域特性で指定している文字集合になります。

--output-charset 文字集合

出力される文字列を変換するのに用いる文字集合を設定します。既定では機構の現行地域特性で指定している文字集合になります。

-r, --redirect-outputファイル名

全てのメッセージをコンソールではなくfile-nameで指定したファイルに書き出します。出力リダイレクトによっても同じことが簡単にできますが、このオプションが必要な場合もあります。ターミナルがファイルに書き込む前に出力を処理してしまう場合などです。--output-charsetによって指定された文字コードは尊重されます。

--ui-language 符号

用いる翻訳を指定した言語符号のものに強制します(例えば 'de_DE' ならドイツ語翻訳です)。符号に 'list' を指定すると利用可能な翻訳の一覧を出力します。

--abort-on-warnings

警告が発された後、プログラムが停止するようにします。プログラムの終了番号は1になります。

--debug 題目

特定機能(題目)に対する虫取りを開始します。このオプションは開発者にのみ有用です。

--engage 機能

実験的機能をオンにします。利用可能な機能のリストはmkvpropedit --engage listで得られます。これらの機能は通常の状況で利用されることは意図されていません。

--gui-mode

GUIモードに切り替えます。このモードではGUI操作の状況を伝える特殊な形式の行が出力されます。これらの通報は '#GUI#通報内容' という形式の後に続きます。'#GUI#通報内容#予約語1=値1#予約語2=値2...' というように予約語・値の組が通報内容に続くことがあります。通知内容や予約語は翻訳されることなく常に英語で出力されます。

-v, --verbose

出力が冗長になり、Matroska(TM)の重要要素全てを、読み込まれるつど表示します。

-h, --help

使い方の情報を出力して終了します。

-V, --version

版の情報を出力して終了します。

@オプションファイル.json

オプションファイルから追加の命令行引数を読み込みます。こうしたファイルの対応形式についての詳細は、mkvmerge(1)便覧中の「オプションファイル」という節をご覧ください。
 

編集選択子

--editオプションは、以降のadd、set及びdeleteアクションが適用されるMatroska(TM)ファイルセクション(セグメント情報または特定のトラック頭部)を設定します。これは次の--editオプションが見付かるまでずっと有効です。このオプションへの引数は編集選択子と呼ばれます。

既定では、mkvpropedit(1)はセグメント情報のセクションを編集します。  

セグメント情報

セグメント情報は次の3つの単語によって選択されます。'info'、'segment_info'または'segmentinfo'です。これはセグメントタイトルやセグメントUIDなどのプロパティを格納しています。  

トラック頭部

トラック頭部はもうちょっとだけ複雑な選択子で選択されます。全ての場合で選択子は'track:'で始まります。トラック頭部プロパティには、言語コード、'既定トラック'フラグやトラック名のような要素があります。

track:n

引数nが数字の場合は,n番目のトラックを選択します。トラックの順序はmkvmerge(1)での--identifyオプションの出力と同じです。

付番は1から始まります。

track:tn

引数が単一の文字tに続くnで始まる場合は,特定のトラック種別のn番目のトラックを選択します。トラック種別引数tは次の4つのうち1つでなくてはなりません:'a'は音声トラック,'b'はボタントラック,パラメータが一文字の英字tで始まり、次にnが続く場合、あるトラックタイプでn番目のトラックが選択されます。トラックタイプパラメータtは、音声トラックを示す'a'、ボタントラックを示す'b'、字幕トラックを示す's'、映像トラックを示す'v'の四つのうちの一つでなければなりません。トラックの順番はmkvmerge(1)の--identifyオプションで出力される順番と同じです。

付番は1から始まります。

track:=uid

引数が '=' に続く数字uidであれば,指定されたuidと等しいトラックUID要素を持つトラックを選択します。トラックUIDはmkvinfo(1)で確認できます。

track:@number

引数が '@' に続く数字numberであれば,このnumberに等しいトラック番号要素を持つトラックを選択します。トラック番号はmkvinfo(1)で確認できます。
 

注意

トラック編集選択子の性質から、複数の選択子が同じトラック頭部に合致し得ます。こうした場合、それらの編集選択子への全作用を一つにまとめ、命令行で与えた順に実行します。  

添付ファイル選択子

添付ファイル選択子は--replace-attachmentおよび--delete-attachmentの二作用と共に使います。

1. 添付ファイル識別子での選択。この形式では、選択子は単に数字であり、mkvmerge(1)の識別命令が出力する添付ファイル識別子と同じものです。

2. 添付ファイル固有識別子での選択。この形式では、選択子は等号=に続く数字であり、mkvmerge(1)の識別命令が出力する添付ファイル固有識別子と同じものです。

3. 添付ファイル名による選択。この形式では、選択子は即値語name:に続く存在する添付ファイルの名前です。この選択子を--replace-attachmentと共に用いる場合は、合致する名前中のコロンは\cと退避させなくてはなりません。

4. MIME種別による選択。この形式では、選択子は即値語mime-type:に続く存在する添付ファイルのMIME種別です。この選択子を--replace-attachmentと共に用いる場合は、合致するMIME種別中のコロンは\cと退避させなくてはなりません。
 

'movie.mkv' というファイルを編集する例を以下に示します。区分題名を設定し、音声トラックおよび字幕トラックの言語コードを修正しています。注意: この例では、最初の--editオプションを省いて短縮できます。なぜなら、結局最初の--editオプションが見付かる前の全てのオプションは、既定で区分情報要素を編集するからです。

$ mkvpropedit movie.mkv --edit info --set "title=The movie" --edit track:a1 --set language=fre --edit track:a2 --set language=ita

二番目の例では、最初の字幕トラックから '既定トラック旗印' を削除し二番目の字幕トラックに設定します。注意: mkvpropedit(1)はmkvmerge(1)とは違い、'既定トラック旗印' を違うトラックで '1' に設定している場合でも他のトラックの '既定トラック旗印' を自動的に '0' に設定することはありません。

$ mkvpropedit movie.mkv --edit track:s1 --set flag-default=0 --edit track:s2 --set flag-default=1

ファイル中2番目の字幕トラックの標識を置換するには、以下のようにします:

$ mkvpropedit movie.mkv --tags track:s2:new-subtitle-tags.xml

標識を削除したいときはファイル名を省きます:

$ mkvpropedit movie.mkv --tags all:

ファイル中の楽章を置換するには、以下のようにします:

$ mkvpropedit movie.mkv --chapters new-chapters.xml

全ての楽章を削除したいときはファイル名を省きます:

$ mkvpropedit movie.mkv --chapters ''

フォントファイル(Arial.ttf)を添付ファイルとして追加する。

$ mkvpropedit movie.mkv --add-attachment Arial.ttf

フォントファイル(89719823.ttf)を添付ファイルとして追加し、それがまさにArialであるという情報を提供する:

$ mkvpropedit movie.mkv --attachment-name Arial.ttf --attachment-description 'The Arial font as a TrueType font' --attachment-mime-type application/x-truetype-font --add-attachment 89719823.ttf

附属のフォントファイル(Comic.ttf)を別のもの (Arial.ttf) に置き換える:

$ mkvpropedit movie.mkv --attachment-name Arial.ttf --attachment-description 'The Arial font as a TrueType font' --replace-attachment name:Comic.ttf:Arial.ttf

2番目の添付ファイルを、それが何であれ削除する。

$ mkvpropedit movie.mkv --delete-attachment 2

MIME種別を指定することで全ての附属フォントを削除する:

$ mkvpropedit movie.mkv --delete-attachment mime-type:application/x-truetype-font
 

終了番号

mkvpropedit(1)は下の3つの終了番号を返します。

0 -- この終了番号は変更が成功したことを示します。

1 -- この終了番号は、一つ以上の警告が出力されたが抽出が続行されたことを意味します。警告は 'Warning:' という文字列を先頭にして出力されます。結果ファイルが無事かどうかは状況によります。出力ファイルを確認することを強く推奨します。

2 -- この終了番号は、誤りが発生し、誤り通報を出力した直後にmkvpropedit(1)が終了したことを示します。誤り通報の原因は命令行の間違いやファイル読み/書き誤り、壊れたファイルなど多岐に渡ります。
 

文章ファイルと文字集合変換

MKVToolNix一式の全ての操作機が文字集合変換、入出力、命令行、操作卓上の文字集合をどのように処理するかについての詳細な議論については、mkvmerge(1)の便覧にある同名の節をご覧ください。  

環境変数

mkvpropedit(1)は機構の地域特性を決める既定変数(例:LANGLC_*系列)を使用します。追加の変数:

MKVPROPEDIT_DEBUG, MKVTOOLNIX_DEBUGとその短縮形MTX_DEBUG

その内容を、あたかも--debugオプション経由で渡されたかのように扱います。

MKVPROPEDIT_ENGAGE, MKVTOOLNIX_ENGAGEとその短縮形MTX_ENGAGE

その内容を、あたかも--engageオプション経由で渡されたかのように扱います。
 

関連項目

mkvmerge(1)、mkvinfo(1)、mkvextract(1)、mkvtoolnix-gui(1)  

ウェブ

最新版は常にm[blue]MKVToolNixの拠点m[][1]で入手できます。  

著者

Bunkus Moritz[FAMILY Given] <moritz@bunkus.org>

開発者
 

注記

1.
MKVToolNixの拠点
https://mkvtoolnix.download/


 

Index

名前
書式
説明
編集選択子
セグメント情報
トラック頭部
注意
添付ファイル選択子
終了番号
文章ファイルと文字集合変換
環境変数
関連項目
ウェブ
著者
注記